AIと医療DX
9.小児リハビリテーションにおけるメタバース活用の意義と展望
長谷川 陽子
1
,
百崎 良
2
1三重大学医学部附属病院リハビリテーション部
2三重大学大学院医学系研究科リハビリテーション医学分野
キーワード:
メタバース
,
アバター
,
小児リハビリテーション
,
社会参加
Keyword:
メタバース
,
アバター
,
小児リハビリテーション
,
社会参加
pp.1070-1073
発行日 2026年9月15日
Published Date 2026/9/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr035101070
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はじめに:リハビリテーションにおけるメタバースの現在地
近年,リハビリテーション医療におけるバーチャルリアリティ(VR)やメタバースの活用が急速に普及しつつある.メタバースはオンライン上で他者との相互作用が可能な共有環境である.百崎らは,VRの本質を「現実から必要な要素のみを抽出する技術」と定義し,臨床におけるその有用性を説いている 1).実際に,成人のリハビリテーションにおいては自動車運転評価や疼痛緩和,さらには高次脳機能障害のリハビリテーション等,多岐にわたる分野で応用されはじめている.こうした技術革新は小児のリハビリテーションにも広がりつつあるが,小児リハビリテーションにおける活用の意義は,成人のそれとは異なる側面をもつ.成人のリハビリテーションが「失われた機能の再獲得」に主眼が置かれるのに対し,小児リハビリテーションにおいては「未習得の発達段階の獲得」も目的となるからである.児にとってのリハビリテーションは,単なる機能の回復や動作の獲得にとどまるものではない.それは,日々の生活や遊びを通じた「発達を促す経験」であり,他者とのかかわりの中で自己を育むプロセスでもある.小児がんや重症心身障害等,疾患や治療の影響で物理的な隔離を余儀なくされている児は,この大切な「発達を促す経験」の機会を失っている.本稿では,メタバースという技術を,制約を超えて「子どもとしての本質的な体験」を抽出・再構築するためのツールとしてとらえ,その可能性と作業療法士としての視点について述べる.

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