Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
内容のポイント Q&A
Q1 脊髄損傷患者の復職の現状は?
全国脊髄損傷データベース(1997~2023年度)によると,生産年齢の3,888例において退院時に復職したのは563例(14.5%)で経年的にみても大きな変動はない.頚髄損傷者では2,562例中305例(11.9%),胸髄以下の損傷者では1,326例中258例(19.5%)が復職しており,その割合は後者において有意に高かった.退院後に復職に至る症例も多数おり,家庭復帰後も職業的なアプローチが重要である.
Q2 制度上の課題や対応は?
脊髄損傷等,社会復帰を果たすために長期間を要する疾病においては,在院日数や疾患別リハビリテーション料における標準的算定日数による制約等が医療制度やシステム上での課題である.現状では,退院時に脊髄損傷者が復職に至るのは容易ではなく,それを達成するためには「長期ゴールを共有した複数の医療機関の連携」と「退院後も含めた長期的視野に立った職業的アプローチ」が求められる.
Q3 注意すべき合併症の管理は?
排尿障害や筋緊張異常,疼痛等とともに発生頻度が高く,多くの脊髄損傷者に影響を及ぼすのが排便障害である.排便管理が良好でないと,便失禁が生じるストレスにより社会参加へのモチベーションは低下し,就労へのチャレンジには至らない.ただ,便失禁は必ず経験するので,入院中にその対処方法を含めた自己管理方法をアドバイスしておく必要がある.また社会復帰後には排便の状況が変化することも説明しておくことが大切である.
Q4 損傷レベルや程度における注意は?
わが国においては頚髄損傷者がその多くを占めるが,情報技術の発展・普及による勤務形態の変化が就労の道を拓きつつある.特に復職の割合が低い第6頚髄レベルとそれより高位の頚髄損傷者では,在宅就労での復職も模索することが賢明である.リハビリテーション医療においては,社会復帰後に情報通信機器を活用できる環境や技術,知識の獲得を目指す.頚髄損傷者にも復職のチャンスが十分あることを医療従事者は認識しておきたい.

Copyright© 2026 Ishiyaku Publishers,Inc. All Rights Reserved.

