特集 認知症に対するリハビリテーション医療
Column 認知症に対するコミュニケーションロボット
近藤 和泉
1
,
大高 恵莉
2
1国立長寿医療研究センター
2刈谷豊田総合病院
pp.929-931
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034090929
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コミュニケーションロボットは,厚生労働省と経済産業省が定めた「ロボット技術の介護利用における重点分野」の8分野13項目の1つとなっており 1),見守りコミュニケーション分野の高齢者等とのコミュニケーションにロボット技術を用いた生活支援機器とされている.その定義として,「①高齢者等の日常生活全般が支援対象となり得る」「②高齢者等の言語や顔,存在等を認識し,得られた情報を元に判断して,情報伝達ができる」「③双方向の情報伝達によって高齢者等の活動を促し,ADL(日常生活活動)を維持向上することができるもの」とされている.ただし,このコミュニケーションロボットという用語は,国際的には一般的でなく,同様な範疇の用語として,ソーシャルロボットやコンパニオンロボットが使われることが多い.ソーシャルロボットとは,ロボット技術の1つであり,ユーザーとロボットが人間と同じ社会的な価値観を通じて自然で直感的な形で交流するものであり,擬人的な姿をしているものがその一典型であるとされている.Hirtら 2)による,認知症患者に対するソーシャルロボット使用のレビューでは,情緒および行動,さらに機能的な側面に対する効果に関しては両論があるものの,認知機能に関しては,一貫して改善しないとされている.使われているロボットは,ペットタイプ(PARO,図1) 3)が最も多く,認知症に対する非薬物療法としてペットを使う場合に比べて,コスト,衛生面および安全性に関して利点があり,暴言・暴力および抑うつに効果があるとされている 4).

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