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特集 大腿骨近位部骨折のリハビリテーション診療
第3章 特殊な大腿骨近位部骨折の手術とリハビリテーション治療,合併症
大腿骨近位部転移性骨腫瘍(切迫・病的骨折)の手術とリハビリテーション治療,合併症
Surgery and Rehabilitation Treatment, Complications of Metastatic Bone Tumors of the Proximal Femur
太田 真悟
1
,
宮本 俊之
1
Shingo Ota
1
,
Toshiyuki Miyamoto
1
1国立病院機構長崎医療センター
キーワード:
大腿骨近位部骨折
,
病的骨折
,
生命予後
,
深部静脈血栓症
Keyword:
大腿骨近位部骨折
,
病的骨折
,
生命予後
,
深部静脈血栓症
pp.723-727
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.32118/cr034070723
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内容のポイント Q&A
Q1 転移性骨腫瘍による病的骨折の鑑別と手術法の適応は?
大腿骨近位部骨折において,比較的若く軽微な外傷で受傷した患者や高齢者でも担がん患者であれば病的骨折を念頭に置かなければならない.また疼痛等の臨床所見や骨折の画像所見以外に,がん種および予後予測が重要な情報となる.これらの情報をもとにパターンに分けて治療アルゴリズムを立てている.また切迫骨折では骨折リスクと生命予後の双方を考慮して,多職種でカンファレンスを行い治療方針を決定しなければならない.
Q2 転移性骨腫瘍に対する後療法は?
受傷前に歩行可能であった場合,髄内釘固定術や人工骨頭挿入術では基本的に術翌日より全荷重を許可し,リハビリテーションを実施している.また腫瘍用人工骨頭では術後創部の状態次第で荷重を許可している.対して受傷前から歩行不能であり,徐痛目的の場合でもベッド上でのギャッジアップや介助等の制限は設けていない.受傷前ADLや全身状態,生命予後等を考慮し各々の患者の術後ゴールを設定することが重要である.
Q3 転移性骨腫瘍における注意すべき合併症は?
深部静脈血栓症はがん患者で発症リスクが非がん患者の約3倍といわれている.さらに病的骨折により発症率はさらに上昇するため,症状により臥床を余儀なくされている症例では早期手術・早期離床が重要である.術後はDダイマーの値や臨床症状を注意深く観察し,その結果によっては,下肢静脈エコーや造影CT等の追加検査,抗凝固薬の投与が必要となる.

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