リハビリテーション科医に必要な消化器疾患の知識と近年の進歩
8. 大腸疾患
辻仲 眞康
1
,
柴田 近
1
1東北医科薬科大学消化器外科
キーワード:
大腸癌
,
炎症性腸疾患
,
低侵襲手術
,
術前治療
,
プレハビリテーション
Keyword:
大腸癌
,
炎症性腸疾患
,
低侵襲手術
,
術前治療
,
プレハビリテーション
pp.290-300
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr034030290
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(1)炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
炎症性腸疾患(inflammatory bowel diseases;IBD)は,寛解・再燃性の炎症が消化管の粘膜に発生する疾患の総称であり,一般的に潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC)とクローン病(Crohn's disease;CD)の2つの疾患のことを指す.遺伝的要因に,食事,感染,生活環境等の環境因子が加わり,腸管免疫や腸内細菌叢の異常をきたすことで発症すると考えられているが,いまだ原因は不明である 1).UCとCDはいずれも比較的若年(10〜30代)で発症し,腹痛,下痢,血便等の症状を呈し,再燃と寛解を繰り返しながら慢性的に炎症が持続するという共通点を有している.しかし,病態や病変の部位には類似性がない点も多く,診断や治療方法も異なっている.また,IBDの約15%に腸管外合併症が発生し,結節性紅斑や壊疽性膿皮症等の皮膚病変,強直性脊椎炎や末梢性関節炎を含む関節病変が特徴的である 1).UCやCDの診断は,臨床症状,画像および組織学的検査所見を評価項目とした厚生労働省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」の診断基準に基づいて行う 1).

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