TOPICS ─文献紹介〈炎症関連*〉
ストレス応答蛋白RBM3 は炎症性腸疾患関連大腸癌の発生を促進する〔Review from─ Inflamm Bowel Dis 2017;23:66-74〕
櫻井 俊治
1
,
工藤 正俊
1
1近畿大学消化器内科
キーワード:
ストレス応答
,
炎症性腸疾患
,
大腸癌
,
幹細胞
,
アポトーシス
Keyword:
ストレス応答
,
炎症性腸疾患
,
大腸癌
,
幹細胞
,
アポトーシス
pp.202-203
発行日 2018年3月20日
Published Date 2018/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000176
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
炎症性腸疾患(IBD)において慢性炎症が発癌を促進する.sporadic な大腸癌はadenoma-carcinomasequence を介して発癌することは知られている.一方で,IBD 関連大腸癌(colitis-associatedcancer,colitic cancer)は発癌経路を異にし,浸潤性が高く予後不良であるとされ,その予防・早期治療のためのサーベイランスプログラムの確立が急務である. 私たちは慢性炎症に対するストレス応答に注目して慢性炎症からの発癌機序究明の研究を進めてきた.IBD 患者の大腸粘膜において,慢性炎症がストレス応答蛋白cold-inducible RNA-bindingprotein(Cirp),heat shock protein A4(HSPA4)の発現を亢進させ,幹細胞マーカーの発現および大腸発癌を促進することを示した1),2).大腸粘膜におけるHSPA4,幹細胞マーカーBmi1 の発現の高い症例で,ステロイドや抗TNF-α抗体製剤の治療効果が低く,ストレス応答蛋白の治療効果予測マーカーとしての有用性が示唆された2),3).
Copyright © 2018, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.