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特集 痙縮治療最前線
第2章 併用療法
下肢痙縮に対する手術療法との併用療法
Surgical Treatment for Spastic Equinovarus Foot
幸田 剣
1
Ken Kouda
1
1和歌山県立医科大学 リハビリテーション医学講座
キーワード:
下肢痙縮
,
腱延長術
,
腱移行術
Keyword:
下肢痙縮
,
腱延長術
,
腱移行術
pp.1328-1334
発行日 2024年11月25日
Published Date 2024/11/25
DOI https://doi.org/10.32118/cr033131328
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内容のポイント Q&A
Q1 痙縮に対する手術療法にはどのようなものがあるか?
手術療法により足部の内反,尖足,足趾の変形を直接的に矯正することができる.術式によっては,痙性を有効利用することで,接地性,支持性を高め,歩行能力を改善する.具体的には,アキレス腱延長術,後脛骨筋腱移行術,前脛骨筋腱外側移行術,長母趾伸筋腱延長術,長短趾屈筋腱切離術等があり,これらの術式を組み合わせて行う.手術治療の機序は,足関節および足部横アーチに対する腱の作用を考えると理解しやすい.
Q2 発現部位や重症度を考慮した手術療法の適応は?
手術療法は侵襲を伴い,不可逆的な治療法であるため,手術適応は慎重に判断する.発現部位にかかわらず障害が固定期にあり,他の痙縮治療で十分な改善が得られない症例で,固定性の関節変形や拘縮がなく,術前に歩行訓練を実施できていることが必要条件となる.総合的に術後のADL改善が見込めるかどうかを判断したうえで,手術に耐えられる全身状態で,術後の指示や訓練に協力が得られる症例がよい適応である.
Q3 発現部位や重症度を考慮した併用療法の戦略は?
発現部位が脳であっても脊髄でも手術療法の対象となるが,高用量でボツリヌス療法を継続していても現在の最大投与量では効果が十分とはいえない症例や,バクロフェン髄腔内投与により流量を調節しても痙縮のコントロールが難しいような重症の痙縮に対して手術療法を行う.術後も装具療法,ボツリヌス療法,理学療法の併用療法を継続して行うことで,術前とは別の痙縮筋へ施注でき,痙縮治療の対象とする筋や日常生活動作の幅を広げることができる.
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