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背景と目的
改訂水飲みテスト(Modified Water Swallowing Test;MWST)は代表的な摂食嚥下スクリーニングテストの1つである.日本で最初に考案された水飲みテストは,1982年に窪田らが報告した30 mlの水を使用した水飲みテスト 1)であるが,摂食嚥下障害の疑いがある患者に30 mlの水を摂取させることに対して誤嚥のリスクが懸念された.そこで,1999年に才藤らにより従来の水飲みテストを改訂したMWST 2)が開発された.MWSTは安全性に配慮し,水の投与量が3 mlと少量となった.水を飲み込んだ後に反復嚥下を指示すること,最大2施行繰り返すことで難易度が調整された.このような開発過程を経て,現在MWSTは国内で最も普及している水飲みテストとなっている.
脳卒中リハビリテーションにおける位置付けとしては,「脳卒中治療ガイドライン2009」では,「嚥下障害が疑われる患者では嚥下造影検査(VF検査)の施行が望ましいが,ベッドサイドでの簡便なスクリーニング検査としては,水飲みテストが有用である(グレードB:行うよう勧められる)」 3)と記載された.その後の改訂により「脳卒中治療ガイドライン2015」では「患者が飲食や経口的服薬を開始する前に嚥下評価をすることが推奨され,ベッドサイドでの簡便なスクリーニング検査として,水飲みテストが有用であるが,さらに精密な検査が必要な場合には嚥下造影検査(VF検査)や内視鏡検査(FE検査)を実施するよう勧められる(グレード B:行うよう勧められる)」 4)とされ,嚥下スクリーニングを推奨するタイミングが経口摂取を開始する前と記された.その後の2021年の改訂では,「スクリーニングは飲食や経口内服を開始する前に行い(推奨度 A:強い推奨,エビデンスレベル 中),水飲みテスト〔MWST,Toronto Bedside Swallowing Screening Test(TOR-BSST)〕が簡便で有用である」 5)とされ,最も高い推奨グレードとなった.MWSTのエビデンスが蓄積され,必要度が増していると考えられる.
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