特集 失語,失行,失認のリハビリテーション
Column 聴覚性失認の評価とリハビリテーション
伊藤 典子
1
,
加藤 徳明
1
1社会医療法人 陽明会 小波瀬病院 リハビリテーション科
pp.245-249
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr033030245
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はじめに
聴覚性失認とは側頭葉聴覚野や聴放線の損傷により純音聴力は残存(健常~軽度・中等度難聴レベル)しているが,言語音・非言語音(環境音,音楽)等の認識ができなくなった状態をいう 1).聴覚性失認に関する分類や用語はさまざまで統一されていないが,本稿では,言語音・環境音・音楽すべての認識障害を呈した広義の聴覚性失認を「全般性聴覚性失認」とし,言語音,環境音,音楽の認識障害をそれぞれ「純粋語聾」,「環境音失認」,「受容性失音楽」とする 2).また,内耳から脳幹には問題がなく聴性脳幹反応(auditory brainstem response;ABR)は正常だが高度の聴力障害を呈するものを「皮質聾」とする.全般性聴覚性失認は,その84.1%が両側性脳損傷によると最近のレビューで報告があり 3),一般的に両側聴皮質~聴放線損傷によって生じる.わが国でも両側の被殻出血 4, 5)や視床出血 6)による聴覚性失認の報告があり,初期には皮質聾を呈し,全般性聴覚性失認に変化し,次いで環境音失認を経て改善した例もある 5).
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