栄養管理に活かしたい! 漢方医学入門①
漢方医学で理解する消化吸収と栄養状態
小川 恵子
1
Keiko Ogawa
1
1広島大学病院 漢方診療センター
pp.164-169
発行日 2026年2月1日
Published Date 2026/2/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn148020164
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
食欲低下,腹部膨満,便秘や下痢など,消化器に関連する訴えをもつ患者さんに対する栄養指導では,既往歴の確認,食事内容や栄養計算はもちろんのこと,各々の患者さんの特性を評価することが重要です.
筆者はこれまで数年間,栄養サポートチーム(NST)のメンバーとして多くの患者さんの栄養管理にかかわってきました.その中で強く感じてきたのは,栄養管理は数値だけでは語れない,ということです.食べる量や質が適切であっても,消化吸収が低下していれば,栄養は十分に体内へ取り込まれません.とくに,高齢者では,食欲や意欲が低下したり,嗜好が年齢とともに変化したりして,たんぱく質や脂質の摂取量が減るのみならず,吸収能力も低下します.漢方医学は,このような心身の変化を丁寧にとらえ,食欲や消化機能,疲労感,便通などの症状も個別に総合的に判断します.この視点は,日々栄養指導に向き合う管理栄養士・栄養士その他医療従事者の皆様の観察ととても近いものだと思いますが,それが体系化されているのが漢方医学であり,栄養管理において大きな助けとなります.
本シリーズでは,はじめての方にもわかりやすく,漢方の基本や栄養管理とのつながり,現場で役立つ見立てのポイントを解説します.第1回目は,漢方医学の考え方と望診について,そして関連する処方解説をします.

Copyright © 2026 Ishiyaku Publishers,Inc. All Rights Reserved.

