特集 腸内細菌を学ぶ
漢方薬
小川 恵子
1
Keiko Ogawa
1
1広島大学病院漢方診療センター
pp.214-221
発行日 2023年2月25日
Published Date 2023/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000369
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はじめに
小児外科領域では,多くの漢方薬が使用されるようになってきた。これは,小児外科疾患の短期予後が飛躍的に改善したものの,それに伴う術後や長期生存例の術後管理,成長障害の改善が必要となってきたからと推察される。漢方医学は,疾患の原因を探求し解決するよりは,患者自身の病態を全体的に観察し,その改善を目標としている。たとえば,腸管易感染性に対し現代医学は抗菌薬投与など原因菌の排除を目標とするが,漢方医学は患者の免疫能や腸管運動能などの改善を目標とする。漢方薬の作用には,腸管粘膜バリア異常に伴う腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)の改善が関わっているかもしれない。腸内細菌叢を含む腸内環境の改善は,栄養状態や免疫機能の改善を介してquality of life(QOL)やactivities of daily living(ADL)の向上にもつながる。
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