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栄養食事療法における低エネルギー甘味料の利用意義を考える
大河内 友美
1,2
,
本郷 涼子
2
,
世羅 至子
2
Tomomi Okawachi
1,2
,
Ryoko Hongo
2
,
Nobuko Sera
2
1長崎短期大学地域共生学科 食物栄養コース
2長崎県立大学地域創生研究科 地域創生専攻 人間栄養健康科学分野
pp.426-428
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn146040426
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はじめに
日本では,1948年にサッカリンナトリウムが食品添加物に指定されて以来,さまざまな低エネルギー甘味料が使用されるようになった1).現在,低エネルギー甘味料は多種多様な清涼飲料や加工食品等に広く使用され,消費者にとっては知らず知らずの間にそれらの摂取量や摂取頻度が増えているケースがある.多くの低エネルギー甘味料では,摂取後の血糖値や血清脂質値への直接的な影響は認められず,数カ月の介入試験ではショ糖が甘味料に置き換わることによる摂取エネルギー低下にともなった体重減量効果が認められる2, 3).一方,年単位の観察研究では低エネルギー甘味料入り飲料の習慣的摂取により糖尿病や心血管疾患のリスクが高くなることが観察されている4)など,甘味料の摂取が身体に与える影響についてエビデンスが構築されつつある.
2023年のWHOの勧告では,「体重管理や非感染性疾患のリスク軽減の手段として,非糖質系甘味料(non-sugar sweeteners:NSS)を使用しないことを推奨する.ただし,既存の糖尿病患者の治療等にはこの勧告は適用されない」とされた4).甘味料を利用する頻度が高くなる可能性のある糖尿病等の患者にとって安全で効果的な栄養食事療法の継続を支援するためにも,甘味料の利用意義ならびに活用方法を検討していかなければならないと考える.

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