連載 カンファランスで学ぶ NST難症例ケーススタディ①〈隔月連載〉
リフィーディング症候群を発症した患者に緩徐な栄養管理を行った一例
昭和大学病院NST(栄養サポートチーム)
キーワード:
リフィーディング症候群
,
低血糖
,
電解質異常
Keyword:
リフィーディング症候群
,
低血糖
,
電解質異常
pp.214-218
発行日 2024年2月1日
Published Date 2024/2/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn144020214
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ケースサマリー
症例は70代,男性.うつ病による摂食障害があり,低栄養に加えサルコペニアの状態であった.前医にて誤嚥性肺炎発症を機に経腸栄養を開始したところ,翌日より意識レベルの低下と肝機能障害(AST 8,096 U/L,ALT 4,269 U/L)を認め,当院に搬送された.来院時に低血糖(BS 22 mg/dL)を認めたため,ブドウ糖(9 kcal/kg/日)とビタミンB1の投与が開始された.身長170 cm,体重36.0 kg,BMI 12.5 kg/m2と高度るい痩を認め,肝機能障害の原因として飢餓状態による栄養障害が疑われた.第2~5病日はブドウ糖(約10 kcal/kg/日)で管理され,電解質補正のためK 40 mmol,P 20 mmol,Mg 10 mmolが投与された.第6病日よりペプタメンⓇプレビオ(10 kcal/kg/日)の持続投与を開始したが,低血糖と電解質異常(低K血症,低P血症,低Mg血症)が継続した.低血糖と電解質異常を落ち着かせるためにはインスリンの過剰分泌を抑える必要があると考え,経腸栄養剤を炭水化物含有量の少ないグルセルナⓇに変更した.経腸栄養は24時間持続投与とし,1週間ごとに約200 kcalずつ増量,第37病日には30 kcal/kg/日の投与に到達した.第30病日に低血糖が落ち着いたため静脈栄養は中止となった.この間,肝機能障害は徐々に改善し,第49病日には正常値に落ち着いた.第50病日より1日4回の間欠投与を開始し,第58病日には1日3回投与となり,電解質の補正も不要となった.
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