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リアルワールドデータ(Real-World Data:RWD)の薬事利用は,臨床研究とその成果の医療への実装をつなぐ新たな科学的基盤として,今後の医薬品開発および評価体系を大きく変革しうるものである.国際的にも,米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration:FDA)や欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)をはじめ,各国規制当局間でガイダンスの整合調整が進展している.その実現に向けては,各国の規制当局が共通して掲げる「適合性(relevance)」と「信頼性(reliability)」の2つの項目を十分理解して,目的に即した(fit-for purpose)データベース・レジストリを設計・構築し,その品質を確保することが不可欠である.適合性は,研究目的に照らして対象集団・曝露・アウトカムが妥当であるかを評価する概念であり,信頼性は,データの正確性(accuracy),完全性(completeness),追跡可能性(traceability)が確保されているかを意味する.これらは単なる技術的基準ではなく,エビデンスの信頼度を担保する基本的要件として,RWDを薬事審査や規制判断に活用するうえでの共通言語となっている.さらに,各国の個別ガイダンスよりも上位に位置づけられる原則的な文書である国際医薬品規制調和会議(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use:ICH)においても,E6(R3)Annex 2が策定され,分散型試験やRWDの活用を含む多様なデータソースに対して「適合性」および「信頼性」の原則を適用することが明示された.この国際的枠組みのもと,わが国においても,医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:PMDA)のレジストリ活用相談制度等を活用した早期かつ継続的な相談を通じ,データベース設計段階から品質確保に関する規制当局との合意形成を図ることが求められている.こうした取り組みにより,承認申請や市販後安全性評価に耐えうる「適合性」および「信頼性」を備えたデータ活用の実現が進むことが期待される.
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