特集 胃癌—その知識と対策のために
胃癌の病理
廣田 映五
1
,
滝沢 千晶
1
,
金 秉琪
1
,
板橋 正幸
1
,
上坂 克彦
1
,
大津 敦
1
Teruyuki HIROTA
1
,
Chiaki TAKIZAWA
1
,
Byoungkee KIM
1
,
Masayuki ITABASHI
1
,
Katsuhiko UESAKA
1
,
Atsushi OHTSU
1
1国立がんセンター研究所病理部
pp.160-168
発行日 1987年3月15日
Published Date 1987/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207431
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■はじめに
近年胃癌の診断法の進歩は,とくに形態学を基礎とするX線,内視鏡の発達は目覚ましいものがある.最近では5mm以下の微小胃癌を発見することも,さほど難しいことではない.しかし,一部の施設を除いては,切除胃癌例のなかで早期胃癌より進行胃癌の症例がまだ多いのが,一般的である.本院でも国立がんセンター開設以来1985年12月までの24年間に外科手術された胃癌は5,009症例である.このうち早期胃癌は,1,627症例,32%で,残りの68%が進行胃癌である.
胃癌研究会で行われている全国胃がん登録の症例も膨大なものとなり順次集計報告されている1).この間わが国の高齢社会化傾向が次第に進み,公衆衛生学の分野でも高齢者の胃癌に注目されるようになってきた.そこで,本院の症例と全国胃がん登録症例27,100例の手術例胃癌と対比しながら,年齢・性,肉眼・組織型などの形態分類を中心に,代表的な症例と統計的事項を呈示し,形態学的特徴と組織発生などについて若干の新知見を述べる事とする.
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