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特集 造血幹細胞研究の革新と臨床応用への挑戦
骨髄環境の重要性
-――造血維持機構と血液腫瘍病態への関わり
Critical role of bone marrow microenvironment
――The involvement on hematopoiesis and pathology of hematopoietic diseases
川野 裕子
1
Yuko KAWANO
1
1東京大学医科学研究所細胞制御研究分野
キーワード:
骨髄内微小環境(BMME)
,
造血維持機構
,
老化
,
骨髄異形成症候群(MDS)
,
細胞間クロストーク
Keyword:
骨髄内微小環境(BMME)
,
造血維持機構
,
老化
,
骨髄異形成症候群(MDS)
,
細胞間クロストーク
pp.673-677
発行日 2025年11月22日
Published Date 2025/11/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295080673
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近年の研究進展により,造血維持機構が骨髄微小環境(ニッチ;BMME)に強く依存していることが明らかとなっている.BMMEは,血管内皮細胞,骨組織,脂肪,軟骨組織,間葉系細胞(MSC)など,多様な細胞集団から構成されており,造血幹細胞(HSC)の維持や機能調節に不可欠な役割を果たす.最新の知見では,骨髄内の各細胞群が異なる造血維持機構を担い,その多様性ならびに階層構造が造血の恒常性を維持するだけでなく,血液腫瘍の発症に深く関与することが示唆されている.さらに,炎症性サイトカインによるMSCの機能変容が,加齢や骨髄異形成症候群(MDS)などにおける造血変調や造血障害へ寄与することも報告されている.今後は,BMMEにおける細胞間クロストークの詳細な解明などによって,造血維持機構および血液腫瘍での挙動を明らかにすることで,血液腫瘍への治療応用が期待される.

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