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特集 電子顕微鏡が照らす医学研究の最前線
三次元電子顕微鏡解析による甲状腺乳頭癌の核形態特性の解明
Three-dimensional electron microscopy reveals nuclear morphological features of papillary thyroid carcinoma
井上 朋大
1
,
近藤 哲夫
1
Tomohiro INOUE
1
,
Tetsuo KONDO
1
1山梨大学医学部人体病理学講座
キーワード:
甲状腺乳頭癌
,
核形態
,
連続ブロック表面走査型電子顕微鏡(SBF-SEM)
Keyword:
甲状腺乳頭癌
,
核形態
,
連続ブロック表面走査型電子顕微鏡(SBF-SEM)
pp.590-595
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295070590
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甲状腺乳頭癌は,組織学的には核所見によって診断される.核溝や核内細胞質封入体(INCI)といった不規則な核は核膜陥入により起こると考えられているが,その形態形成過程については不明な点が多い.連続ブロック表面走査型電子顕微鏡(SBF-SEM)は連続的に二次元超微形態像を観察し,三次元再構築画像を形成することが可能である.SBF-SEMを用いて,甲状腺乳頭癌核を連続二次元的,三次元的に観察した.正常濾胞上皮細胞核は表面が平滑で球形に近い形態を示したのに対し,甲状腺乳頭癌核では複雑な核膜陥入により,複数の核溝が形成されていた.また,INCIには核外との交通があるOpen INCIと,核外との交通がないClosed INCIの2つがあることがわかった.Closed INCIでは内部の細胞小器官に高度の変化がみられ,dense coreを有する顆粒の集簇を伴うものも一部にみられた.また,Closed INCIでは核外やINCIとの交通を欠く空胞がみられた.このことから,INCIは核膜陥入により形成され,外部との交通が失われることにより形成される過程が推察された.

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