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特集 電子顕微鏡が照らす医学研究の最前線
家族性中枢性尿崩症の病態解明における電子顕微鏡技術の応用
Application of electron microscopy techniques in elucidating the pathophysiology of familial neurohypophysial diabetes insipidus
宮田 崇
1
Takashi MIYATA
1
1名古屋大学医学部附属病院糖尿病・内分泌内科
キーワード:
バソプレシン(AVP)
,
中枢性尿崩症
,
小胞体ストレス
,
ライソソーム
Keyword:
バソプレシン(AVP)
,
中枢性尿崩症
,
小胞体ストレス
,
ライソソーム
pp.585-589
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295070585
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家族性中枢性尿崩症(FNDI)は,抗利尿ホルモンであるバソプレシン(AVP)遺伝子変異によりAVP分泌不全が生じ,緩徐進行性に尿量が増加する疾患である.当研究室にて樹立したFNDIモデルマウスは,AVPニューロンの小胞体に変異タンパクが蓄積することによる小胞体ストレスが病態の主体であり,AVPニューロンの小胞体の一部に凝集体が隔離された区画(ERAC)が形成される.さらにERACへのライソソームの融合を認め,異常タンパク凝集体が小胞体から細胞質へ輸送隔離されることなく小胞体内部で分解されることが示唆された.今後,ERAC形成に関わる分子機序の詳細が明らかとなれば,FNDIのみならず小胞体ストレスが病態に関与する多くの疾患に共通する機序が解明されることが期待される.

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