Japanese
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特集 “All You Need is Synapse” シナプスを標的とした創薬に向けて
シナプス障害を基盤とした緑内障発症機構と治療戦略
Glaucoma as a synapse disease and synapse-targeted therapy
篠崎 陽一
1
,
行方 和彦
1
,
原田 高幸
1
Youichi SHINOZAKI
1
,
Kazuhiko NAMEKATA
1
,
Takayuki HARADA
1
1東京都医学総合研究所視覚病態プロジェクト
キーワード:
シナプス
,
網膜
,
緑内障
,
神経障害
,
視機能
,
網膜神経節細胞(RGC)
,
グリア
Keyword:
シナプス
,
網膜
,
緑内障
,
神経障害
,
視機能
,
網膜神経節細胞(RGC)
,
グリア
pp.128-134
発行日 2025年10月11日
Published Date 2025/10/11
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295020128
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緑内障はわが国最大の失明原因の疾患である.視覚情報を脳へ伝達する網膜神経節細胞(RGC)や視神経の変性によって視野障害が誘導される.従来,緑内障の視野障害はRGCの細胞死が主因であり,病態は不可逆的に進行すると想定されてきた.しかし近年,RGC脱落に先行して樹状突起の変性やシナプスの脱落といった可塑的変化が生じることが明らかとなってきた.さらに,これらの早期変化に対する治療的介入,すなわち樹状突起やシナプスの再生を促す戦略によって,視機能の低下を抑制または回復させる可能性も示唆されている.このような知見は,緑内障における視機能障害の一因がシナプス障害であり,シナプスが新たな緑内障の治療標的となる可能性を示唆している.本稿では,緑内障におけるシナプス障害の分子機構に関する最新の知見を紹介するとともに,シナプスを標的とした新たな治療戦略の可能性について議論する.

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