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第1土曜特集 生体システムのレジリエンス――神経–免疫–内分泌連関から探る適応と修復のメカニズム
交感神経がつかさどるリンパ球動態の分子基盤と生理的・病理的意義
Sympathetic regulation of lymphocyte trafficking
――Mechanisms and immunological implications
鈴木 一博
1,2,3
Kazuhiro SUZUKI
1,2,3
1大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫応答動態学研究室
2同微生物病研究所免疫応答動態分野
3同感染症総合教育研究拠点
キーワード:
交感神経
,
リンパ球動態
,
獲得免疫応答
,
日内変動
,
臨床応用
Keyword:
交感神経
,
リンパ球動態
,
獲得免疫応答
,
日内変動
,
臨床応用
pp.35-38
発行日 2025年10月4日
Published Date 2025/10/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu295010035
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神経系が免疫系に影響を及ぼすことは古くから示唆されてきたが,その分子レベルでのメカニズムは長らく未解明であった.近年,自律神経系と免疫系の相互作用を担う分子基盤が急速に明らかになり,自律神経系が免疫応答を精緻に制御していることがわかってきた.本稿では,交感神経がリンパ球の体内動態を制御する分子機構と,それが獲得免疫応答および炎症・腫瘍免疫に与える影響について,筆者らの研究成果を中心に概説する.交感神経からの入力は,リンパ球に発現するβ2アドレナリン受容体を介してケモカイン受容体の反応性を高め,リンパ節へのリンパ球の保持を促進する.これにより,交感神経活動に応じた獲得免疫応答の日内変動が形成される.さらに,この神経–免疫連関を標的とすることで,炎症性疾患や癌に対する新たな治療戦略の構築が期待される.

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