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特集 周産期メンタルヘルス――プレコンセプションケアから地域リエゾンまで
妊産婦のための対人関係療法
Nurturing the mind through compassionate connection
――Interpersonal psychotherapy for perinatal women
利重 裕子
1
Yuko TOSHISHIGE
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野
キーワード:
対人関係療法(IPT)
,
周産期うつ病
,
役割期待のズレ
Keyword:
対人関係療法(IPT)
,
周産期うつ病
,
役割期待のズレ
pp.1232-1235
発行日 2025年9月27日
Published Date 2025/9/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294131232
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周産期は,心身の急激な変化に曝される時期であり,うつ病のリスクが高まることが知られている.実際,妊娠中のうつ病の有病率は約18%,産後3カ月以内では約19%と報告されており,特に低・中所得国ではさらに高い水準にある.周産期うつ病は,母親自身の健康や生活の質に影響を及ぼすだけでなく,子どもの情緒的・身体的発達や母子関係にも悪影響を及ぼす可能性がある.また,父親のメンタルヘルスにも影響することが指摘されている.さらに深刻なのは,出産後1年以内の母親の死因として自殺が最も多いということであり,産後うつ病との関連が指摘されている.このような現状からも,周産期における早期かつ効果的なメンタルヘルス支援の重要性は極めて高い.対人関係療法(IPT)は,うつ病の治療を目的に米国で開発された期間限定の精神療法で,現在の対人関係に焦点をあて,症状の改善を目指す.うつ病に対する治療法として,認知行動療法(CBT)と並ぶエビデンスがあり,周産期うつ病に対しても治療・予防の両面でその有効性が示されている.

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