Japanese
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特集 感覚器フレイルの予防と対策
感覚器フレイルが認知機能低下に与える影響とそのメカニズム
-――聴力に着目して
Impacts of sensory frailty on cognitive decline and its mechanisms
――Focused on hearing ability
大塚 礼
1,2
,
内田 育恵
1,3
Rei OTSUKA
1,2
,
Yasue UCHIDA
1,3
1国立長寿医療研究センター研究所老化疫学研究部
2名古屋大学大学院医学系研究科老化基礎科学連携講座老化疫学分野
3愛知医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
感覚機能
,
認知機能
,
聴力
,
脳容積
,
地域住民
Keyword:
感覚機能
,
認知機能
,
聴力
,
脳容積
,
地域住民
pp.1070-1076
発行日 2025年9月13日
Published Date 2025/9/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294111070
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聴力低下を含む感覚器フレイルは認知症発症の危険因子と考えられているが,感覚機能低下がなぜ認知機能低下をもたらすのか,そのメカニズムは十分に明らかでない.本稿では,既報論文に基づき,感覚機能低下と認知機能低下の関係性を説明する主な仮説を紹介する.そのうえで,日本人一般住民を対象とした縦断研究から得られた聴力や認知機能,脳局所容積に関する疫学的知見と,同集団におけるアミロイドβ(Aβ)病理を反映する血液バイオマーカーと聴力に関する最新の結果を報告する.現段階では感覚機能低下と認知機能低下の関連について病態解明には至っていないが,感覚機能低下は認知症発症リスクであり,将来の発症を予測する非侵襲的サロゲートマーカーになりうると考えられる.無自覚期からの感覚機能低下に対する予防医学的取り組みが,認知症の発症抑制,重症化予防に貢献することが期待される.

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