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第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
血栓性疾患――病態の解明と診断,治療の進歩
先天性血栓性血小板減少性紫斑病
Congenital thrombotic thrombocytopenic purpura
酒井 和哉
1
Kazuya SAKAI
1
1奈良県立医科大学附属病院輸血部
キーワード:
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
,
先天性TTP
,
ADAMTS13遺伝子変異
,
フォン・ヴィレブランド因子(VWF)
,
新鮮凍結血漿(FFP)
,
遺伝子組み換えADAMTS13
Keyword:
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
,
先天性TTP
,
ADAMTS13遺伝子変異
,
フォン・ヴィレブランド因子(VWF)
,
新鮮凍結血漿(FFP)
,
遺伝子組み換えADAMTS13
pp.771-775
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090771
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血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,血小板減少,溶血性貧血,微小血栓による虚血性臓器障害を特徴とし,ADAMTS13活性著減が原因でフォン・ヴィレブランド因子(VWF)が過剰に血小板と結合し,異常な血栓を形成する.TTPの5%未満がADAMTS13遺伝子変異による先天性TTPである.血小板減少と溶血性貧血を呈する患者において,ADAMTS13活性低下かつインヒビター陰性の場合に,臨床的に先天性TTPが疑われる.確定診断にはADAMTS13遺伝子解析が不可欠である.ADAMTS13遺伝子変異は140種類以上が報告され,個々の患者で異なる.治療の第一選択は,新鮮凍結血漿(FFP)輸注によるADAMTS13補充であるが,定期的な輸注が必要で負担が大きい.遺伝子組み換えADAMTS13製剤(アジンマ®)は2023年にFDA,2024年にPMDA・EMAで承認され,FFP輸注よりTTP発作が少なくアレルギー反応も低減し,在宅自己注射の可能性も示唆されている.

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