Japanese
English
第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
血栓性疾患――病態の解明と診断,治療の進歩
固形がんに伴う播種性血管内凝固の病態・診断・治療と今後求められるもの
Pathophysiology, diagnosis, and treatment of disseminated intravascular coagulation associated with solid cancers and what is required in the future
関 義信
1,2
Yoshinobu SEKI
1,2
1新潟大学医歯学総合病院血液内科
2新潟県立がんセンター新潟病院血液内科
キーワード:
播種性血管内凝固(DIC)
,
慢性DIC
,
固形がんの多様性
,
基礎疾患の予後
,
QOLの向上
Keyword:
播種性血管内凝固(DIC)
,
慢性DIC
,
固形がんの多様性
,
基礎疾患の予後
,
QOLの向上
pp.766-770
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090766
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
播種性血管内凝固(DIC)は,がんの腫瘍随伴症候群のひとつで,固形がんに伴うDICは一般的に凝固活性による血小板減少と骨髄での産生が長時間均衡している,いわゆる慢性DICの臨床形式を示す.ときに,ある種のがん腫の全身播種では急速進行性の臨床形式を示す.また,がん関連血栓症(CAT)のひとつで過凝固状態を基礎としており,しばしば病的血栓を併発する.DICの早期かつ適切な診断・治療は,担がん患者の生命予後やQOLの向上に必須であり,固形がんの日常診療においては常にDICの存在を念頭に置いて診療したい.固形がんに伴うDICは,日本血栓止血学会(JSTH)の「播種性血管内凝固(DIC)診療ガイドライン2024」でも取り上げられ,今現在での望ましい診断・治療が提示された.“固形がんに伴うDIC” とひとくくりに分類されているが,基礎疾患となるがん腫,特に病理学的分類,病期,DICの程度(慢性か,急速進行性か),生命予後など実に千差万別である.そのような背景のなかで,状況別にどのような治療を選択していくべきか,今後,われわれが明らかにしていかなければならない課題のひとつと考える.さらに限定された生命予後のなかで,どのように患者のQOLを向上させていくべきかを考慮することも重要である.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.