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第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
血栓止血関連検査
補体疾患における補体系と血小板・凝固・線容系のクロストークと補体検査法
Crosstalk between complement and coagulation system and complement testing
井上 徳光
1
Norimitsu INOUE
1
1和歌山県立医科大学医学部分子遺伝学講座
キーワード:
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
,
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)
,
遺伝性血管性浮腫(HAE)
,
補体
,
クロストーク
Keyword:
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
,
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)
,
遺伝性血管性浮腫(HAE)
,
補体
,
クロストーク
pp.660-666
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090660
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自然免疫系を担う補体系と凝固系は,ともにセリンプロテアーゼがカスケード状に活性化するシステムである.そのため互いに活性化し合い,クロストークすることや制御機構を共有していることが知られている.凝固系の因子が補体を活性することはよく知られているが,補体疾患それぞれにおいて,どのクロストークが重要であるかははっきりしない点が多い.本稿では,代表的な補体疾患である発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH),非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS),遺伝性血管性浮腫(HAE)における血小板・凝固系へのクロストークの分子メカニズムを概説する.また,これらの補体疾患に対してさまざまな抗補体薬が適応となり,これからも新しい抗補体薬が登場するだけでなく,適応となる疾患も増加すると考えられる.補体疾患の病態解明や抗補体薬の適切な使用のために,補体の関与や活性化状態を把握する補体検査の充実が,今後の課題である.

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