Japanese
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特集 補体と腎疾患:温故知新
補体系の基本的な理解のために
補体と凝固系のクロストーク
Cross talk between complement and blood coagulation
宮田 敏行
1,2
MIYATA Toshiyuki
1,2
1国立循環器病研究センター脳血管内科
2大阪工業大学工学部生命工学科
キーワード:
血小板活性化
,
血管内皮傷害
,
組織因子
,
immunothrombosis
Keyword:
血小板活性化
,
血管内皮傷害
,
組織因子
,
immunothrombosis
pp.39-43
発行日 2024年7月25日
Published Date 2024/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001390
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はじめに
補体系と凝固系はともに多くの因子が作用する複雑なシステムである(図)。補体系の古典経路ではC1qが,レクチン経路ではマンノース結合レクチン(mannose-binding lectin:MBL),コレクチン,フィコリンが,パターン認識分子として抗原抗体複合体などのpathogen-associated molecular patterns(PAMP)やアポトーシス細胞などに由来するdamage-associated molecular patterns(DAMP)に結合し,セリンプロテアーゼ前駆体であるC1rとMASP1(MBL-associated serine protease 1)が構造変化を起こし,それぞれ活性化することで開始される。第二経路は,わずかながら常にC3が分子内チオエステル結合加水分解型C3(H2O)に活性化され,形成されたC3転換酵素C3(H2O)BbとC3bBbにより次々とC3からC3bが形成される。それにより反応が「増幅」し,大量に形成されたC3bにC3転換酵素が結合してC5転換酵素が産生される。補体系はアナフィラトキシンC3aとC5aを産生し,終末の反応で膜侵襲複合体C5b-9を形成し,これらが細胞に対して多くの作用を発揮する(図)1)。
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