Japanese
English
特集 補体と腎疾患:温故知新
補体系の基本的な理解のために
好中球と補体系
Neutrophils and complements
西端 友香
1
,
益田 紗季子
1
,
石津 明洋
1
NISHIBATA Yuka
1
,
MASUDA Sakiko
1
,
ISHIZU Akihiro
1
1北海道大学大学院保健科学研究院病態解析学分野
キーワード:
好中球
,
補体
,
C5a
,
C5a受容体
Keyword:
好中球
,
補体
,
C5a
,
C5a受容体
pp.35-38
発行日 2024年7月25日
Published Date 2024/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001389
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
好中球は末梢血全白血球の約70%を占める細胞で,1日に体重1kg当たり約10億個が骨髄で産生される1)。産生された好中球のほとんどは,骨髄網内組織に発現するケモカインCXCL12と好中球細胞膜上の受容体CXCR4の働きにより骨髄に滞留するが,顆粒球コロニー形成刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor:G-CSF)がこれらの結合を阻害することで骨髄からの放出が促され,血中へと動員される。循環血液中の好中球は,感染のない生理的な状況下では血管内皮細胞とは接触することなく,6~8時間で網内系に処理される。これに対し病原微生物感染時には,好中球はさまざまな接着分子を介して血管内皮上をローリングしはじめ,次第に強固な接着を経て組織に遊走し,病原微生物の拡散を防止するために炎症を惹起する。組織に移行した好中球の寿命は2~3倍に延長され,このことは感染症の制御にポジティブに働く一方,局所の炎症遷延につながるリスクともなる。好中球の活性化は,好中球細胞膜上に存在する受容体とリガンドの結合により誘導され,強力な好中球活性化因子の1つが補体系の産物であるC5aである。本稿では,C5aをはじめとする補体系の好中球への作用を概説する。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.