Japanese
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特集 補体と腎疾患:温故知新
補体系の基本的な理解のために
生物の進化と補体
Evolution and phylogeny of the complement system
中尾 実樹
1
NAKAO Miki
1
1九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門
キーワード:
補体
,
進化
,
系統発生
,
生体防御
,
恒常性維持
Keyword:
補体
,
進化
,
系統発生
,
生体防御
,
恒常性維持
pp.16-20
発行日 2024年7月25日
Published Date 2024/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001385
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はじめに
哺乳類の補体系は,抗体依存的・非依存的な3つの活性化経路と標的細胞を直接傷害する溶解経路,過剰な活性化あるいは自己細胞上での活性化を抑制する制御因子群,そして活性化成分を認識して免疫細胞のエフェクター機能を媒介する補体レセプター群から構成される1)。その機能は,自然免疫としての異物認識・排除のほかに,T・B細胞の活性化による獲得免疫応答の制御,さらに血液凝固系の活性化,創傷治癒,免疫複合体や死細胞の撤去処理などの恒常性維持をも担う2,3)。補体系の構成成分は,多様な蛋白質ファミリーに属し,各ファミリー内で遺伝子重複とドメインのシャッフリングによってさらに多様化し,現在われわれに備わっているような,高度に発達した補体系が完成したと考えられる。
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