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特集 補体revisited――抗補体療法はどこまで進んだか?
新規抗補体薬の展開
-――研究の最前線
Development of novel anti-complement therapeutics
――Frontiers in research
西村 純一
1
Jun-ichi NISHIMURA
1
1大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科
キーワード:
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
,
補体異常症
,
補体関連疾患
,
終末補体阻害薬
,
近位補体阻害薬
Keyword:
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
,
補体異常症
,
補体関連疾患
,
終末補体阻害薬
,
近位補体阻害薬
pp.779-783
発行日 2023年12月9日
Published Date 2023/12/9
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28710779
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近年,さまざまな疾患が補体(関連分子)異常により発症(補体異常症),または増悪(補体関連疾患)することが明らかとなり,補体を標的とした新規抗補体薬が開発されている.2007年に欧米で,初の抗補体薬として抗C5モノクローナル抗体エクリズマブ(ソリリス®)が発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対して承認された.エクリズマブと,その後改良・開発されたラブリズマブの適応疾患は,非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS),重症筋無力症(MG),視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)へと拡大する一方で,さまざまな疾患において新規抗補体薬の開発が精力的に展開されている.PNHにおいては,血管外溶血という新たな課題克服に向けて,C3阻害薬であるペグセタコプラン(エムパベリ®)が承認され,さらに,代替経路の増幅ループを選択的に抑制するD因子(FD)阻害薬ダニコパンやB因子(FB)阻害薬イプタコパンなど,近位補体阻害薬が開発途上にある.また2022年に,自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の一病型である寒冷凝集素症(CAD)の治療薬として,抗C1s抗体スチムリマブ(エジャイモ®)が承認された.本稿では,これら新規抗補体薬のわが国における開発状況について概説する.
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