特集 子どもの検査値の判断に迷ったら
9章 免疫・アレルギー検査
6.血清補体価(CH50),補体コンポーネント(C3,C4)
久米 庸平
1
,
川崎 幸彦
1
1福島県立医科大学小児科学講座
キーワード:
補体
,
溶連菌感染後糸球体腎炎
,
膜性増殖性糸球体腎炎
,
全身性エリテマトーデス
,
cold activation
Keyword:
補体
,
溶連菌感染後糸球体腎炎
,
膜性増殖性糸球体腎炎
,
全身性エリテマトーデス
,
cold activation
pp.1599-1603
発行日 2023年12月20日
Published Date 2023/12/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002863
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補体は,1896年にBordetらによって血清中の熱に不安定な成分として発見され,抗体の抗菌作用を「補う」能力があることからこの名がつけられた.補体系は病原微生物や障害を受けた組織,非自己として認識される生体異物表面に対して,効率的に炎症性免疫反応および細胞溶解性免疫反応を引き起こす1).補体系は初期経路である古典経路,レクチン経路,第二経路を通じて活性化し,後期経路では膜侵襲複合体(membrane attack complex:MAC,C5b-9)を病原微生物上に形成し,標的を破壊する(殺菌作用).またアナフィラトキシン(C3a,C4a,C5a)が食細胞を病原微生物へ誘導(炎症の惹起)したり,病原微生物上に結合した補体を食細胞が認識(オプソニン作用)し,貪食を促したりすることにより生体内の異物を排除する(図1).また自然免疫だけではなく獲得免疫に対しても抗原に結合したC3フラグメント(C3dg)が抗体産生を促進する(アジュバント作用)など多様な機能を有する2)3).
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