Japanese
English
特集 リン代謝研究の最新動向と臨床的意義
尿細管リン酸イオン再吸収機構の最新知見
Progress in understanding tubular phosphate handling in the kidney
小池 萌
1
,
塩﨑 雄治
1
,
瀬川 博子
1
Megumi KOIKE
1
,
Yuji SHIOZAKI
1
,
Hiroko SEGAWA
1
1徳島大学大学院医歯薬学研究部応用栄養学分野
キーワード:
SLC34A
,
近位尿細管
,
副甲状腺ホルモン(PTH)
,
線維芽細胞増殖因子(FGF)23
Keyword:
SLC34A
,
近位尿細管
,
副甲状腺ホルモン(PTH)
,
線維芽細胞増殖因子(FGF)23
pp.558-563
発行日 2025年8月23日
Published Date 2025/8/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294080558
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
腎臓は無機リン酸(Pi)の濾過,再吸収,排泄を通じて,全身のPi恒常性維持に中心的役割を果たす.Piの再吸収は主に近位尿細管で行われ,Na依存性PiトランスポーターであるNaPi2a(SLC34A1)とNaPi2c(SLC34A3)が主な担い手である.NaPi2aの膜局在や分解は,副甲状腺ホルモン(PTH)および線維芽細胞増殖因子(FGF)23を介したNHERF1のリン酸化を介して厳密に調節されており,新たに同定された膜貫通型タンパク質Tmem174は,このNaPi2a分解に不可欠な因子であることが明らかとなった.また,Piは細胞内でも代謝やシグナル伝達に関与しており,IP6K1/IP6K2-XPR1系やPi-G-3-P(グリセロール-3-リン酸)-FGF23軸といった新規経路が注目されている.さらに,SLC34A1およびSLC34A3の変異は低リン血症や慢性腎臓病(CKD)の進展と関連し,NaPi2a阻害薬の開発が進められている.腎臓のPi再吸収に関わる分子機構の理解は,Pi代謝異常疾患に対する新たな治療戦略構築の重要な手がかりとなる.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.