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第1土曜特集 大変革期のリハビリテーション治療と拡大する守備範囲
治療技術の進化
脊髄損傷の再生医療
-――幹細胞治療
Regenerative medicine for spinal cord injuries
――Stem cell transplantation
中村 健
1
Takeshi NAKAMURA
1
1横浜市立大学医学部リハビリテーション科学
キーワード:
脊髄再生医療
,
細胞移植治療
,
リハビリテーション治療
Keyword:
脊髄再生医療
,
細胞移植治療
,
リハビリテーション治療
pp.30-34
発行日 2025年7月5日
Published Date 2025/7/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294010030
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中枢神経の神経細胞は再生しないという定説が信じられてきた.このため,脊髄損傷に対する治療は,受傷時に損傷を受けた神経そのものではなく,残存神経への二次的損傷の予防に長く焦点が置かれてきた.しかし20世紀末頃より,中枢神経の損傷であっても神経修復阻害因子の制御や神経栄養因子の利用などにより再生の可能性が示されるようになった.さらに幹細胞の登場により,細胞移植治療による再生医療が試みられるようなった.わが国では,脊髄損傷に対する細胞移植治療として自家嗅粘膜,骨髄間葉系幹細胞,iPS細胞(人工多能性幹細胞),Muse細胞を使った再生医療の治験や臨床試験が進められており,有効性も示されてきている.しかし,細胞移植治療のみでは実用レベルの身体機能改善には至っていないのが現状であり,リハビリテーション治療を含めた併用療法が必要である.つまり,細胞移植治療による脊髄再生医療を有効なものにするためには,効果的なリハビリテーション治療の方法の確立が重要となる.

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