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教育講座
われわれがめざす脊髄再生医療とは
Future Perspective for Spinal Cord Regeneration
柴田 峻宏
1,2
,
名越 慈人
1
,
岡野 栄之
2
,
中村 雅也
1
Takahiro Shibata
1,2
,
Narihito Nagoshi
1
,
Hideyuki Okano
2
,
Masaya Nakamura
1
1慶應義塾大学医学部整形外科学教室
2慶應義塾大学医学部生理学教室
キーワード:
脊髄損傷
,
再生医療
,
細胞移植療法
,
リハビリテーション治療
,
臨床研究
Keyword:
脊髄損傷
,
再生医療
,
細胞移植療法
,
リハビリテーション治療
,
臨床研究
pp.787-794
発行日 2021年7月18日
Published Date 2021/7/18
- 販売していません
- Abstract 文献概要
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- 参考文献 Reference
はじめに
脊髄損傷(以下,脊損)は,中枢神経である脊髄実質に対して,外傷による損傷を契機とし,損傷部以下の永続的な麻痺,感覚障害,膀胱機能障害といった重度の身体障害を呈する病態である.わが国では年間約5,000人の脊損患者が発生し,慢性期脊損患者数は20万人以上に達すると推定されている1).集学的医療の進歩により脊損患者の平均余命は健常人とほぼ同等となりつつあるが,脊損により生じた麻痺などの機能障害に対しては,いまだ根本的かつ有効な治療法は確立されていない.しかし,近年の基礎研究の目覚ましい進歩により,再生不可能と考えられてきた損傷脊髄においても適切な環境が整えば再生することが明らかになり,さまざまな治療方法が開発されている.わが国でも細胞移植療法や肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor:HGF)などの薬剤療法の臨床研究を開始している.本稿では,われわれが行ってきた脊損に対する再生医療研究の成果ならびに今後の展望を概説する.
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