Japanese
English
特集 神経回路の機能発達と障害――基礎研究からヒト病態へ
細胞運命転換技術による神経回路機能修復
Neural circuit function restoration through cell-fate conversion technology
入江 剛史
1,2
,
中島 欽一
2
Takashi IRIE
1,2
,
Kinichi NAKASHIMA
2
1九州大学大学院医学研究院神経内科学
2同基盤幹細胞学
キーワード:
ダイレクトリプログラミング
,
ミクログリア
,
iN(induced neuronal)細胞
,
神経再生
,
脳梗塞
Keyword:
ダイレクトリプログラミング
,
ミクログリア
,
iN(induced neuronal)細胞
,
神経再生
,
脳梗塞
pp.1222-1227
発行日 2025年6月28日
Published Date 2025/6/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293131222
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現在,中枢神経損傷の治療に関して細胞移植などにより失われた神経細胞(ニューロン)を補充するような根本的治療法は確立していない.しかし近年,特定の転写因子遺伝子を導入することで,本来は神経活動を行わない細胞からニューロン(induced neuronal cell:iN細胞)を産出する直接分化転換(ダイレクトリプログラミング)が開発された.筆者らは,これまでにミクログリアに転写因子NeuroD1を強制発現させるレンチウイルスベクターを使用し,線条体に存在するミクログリアをiN細胞へとダイレクトリプログラミングさせることに成功している.さらに,局所脳虚血モデルマウスにおいても,急性期の梗塞巣でミクログリアを機能的なiN細胞へと転換させ,iN細胞が脳梗塞後の機能回復に直接寄与していることを明らかにした.今後,失われたニューロンをダイレクトリプログラミングによって補充することで神経機能を回復させるという,新しい治療法の開発が期待される.

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