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特集 神経回路の機能発達と障害――基礎研究からヒト病態へ
ケミカルプローブによるシナプス可塑性時のAMPA受容体動態解析
Novel chemical probes enable visualization of AMPA receptor dynamics during synaptic plasticity
曽我 恭平
1
,
清中 茂樹
1
Kyohei SOGA
1
,
Shigeki KIYONAKA
1
1名古屋大学大学院工学研究科生命分子工学専攻
キーワード:
AMPA受容体
,
ケミカルプローブ
,
シナプス可塑性
Keyword:
AMPA受容体
,
ケミカルプローブ
,
シナプス可塑性
pp.1201-1206
発行日 2025年6月28日
Published Date 2025/6/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293131201
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速い興奮性の神経伝達を担うAMPA受容体は,神経活動に応じてシナプス膜上での発現量が動的に変化し,記憶・学習の細胞基盤であるシナプス可塑性に関わる.その細胞内局在はエンドサイトーシス,エキソサイトーシス,膜上の側方拡散によって厳密に制御されているため,膜上の発現量や動態を解析することがシナプス可塑性の理解に必要である.筆者らは,神経細胞に内在的に発現するAMPA受容体を標識可能な新規ケミカルプローブの開発を進めている.その代表例として,細胞表層のAMPA受容体を選択的に蛍光色素で共有結合ラベルできるリガンド指向性2段階ラベル化法,AMPA受容体を迅速かつ可逆的に標識可能な蛍光プローブPFQX1(AF488)があげられる.特に,PFQX1(AF488)はシナプス可塑性時のAMPA受容体動態のスナップショット撮像を実現した.また,2つの手法を組み合わせることで,明確な結論が出ていなかったシナプス可塑性時のAMPA受容体動態の分子機構の解明に成功した.これらの化学的手法は遺伝子操作なしに受容体を可視化できるため,遺伝子改変を行いにくい動物種に対しても適用できる新たなAMPA受容体の機能解析ツールになることが期待される.

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