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第5土曜特集 マルチオミクスが解き明かす疾患の本質――統合的アプローチによる新たな知見
疾患別マルチオミクス解析の最新動向
【免疫・感染症】
自己免疫疾患におけるMR1拘束性αβT細胞サブセットの役割
Roles of MR1-restricted αβT cell subsets in autoimmune diseases
柴田 健輔
1
,
山崎 晶
2,3
Kensuke SHIBATA
1
,
Sho YAMASAKI
2,3
1九州大学医学部視機能再生学分野
2大阪大学微生物病研究所分子免疫制御分野
3同免疫学フロンティア研究センター
キーワード:
代謝産物
,
T細胞
,
自己免疫疾患
Keyword:
代謝産物
,
T細胞
,
自己免疫疾患
pp.863-867
発行日 2025年5月31日
Published Date 2025/5/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293090863
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MR1拘束性αβT細胞は,抗原提示分子MR1に提示された代謝産物を認識するT細胞サブセットである.2003年にそのサブセットの存在が発見された後,ヒトやマウスを含む特定の哺乳類において,進化過程で保存されている集団であることは明らかにされたが,その機能や生体における役割は不明であった.2014年にMR1拘束性αβT細胞の抗原のひとつとして,微生物由来代謝産物が同定されたことをきっかけに,MR1拘束性αβT細胞の生体内での分布や機能解析が可能となり,最近10年間で急速にその理解が進みはじめた.その解析により,ヒト末梢血ではMR1拘束性αβT細胞が最も頻度が高い抗原特異的T細胞サブセット(T細胞中の1~10%)であることが明らかとなり,その機能が特に注目されている.さらに,近年急速な技術進歩を遂げているシングルセル解析技術と組み合わせることで,その生体における役割がより詳細に明らかにされつつある.そこで本稿では,まずMR1拘束性αβT細胞について述べ,次に自己免疫疾患における役割について最新の知見を紹介する.

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