Japanese
English
今月の主題 アルコール依存症
話題
アルコールと睡眠障害およびうつ病との関係
Relationship alcohol and sleep disturbances and depression
内村 直尚
1
Naohisa UCHIMURA
1
1久留米大学医学部神経精神医学講座
キーワード:
アルコール
,
睡眠障害
,
振戦せん妄
,
うつ病
Keyword:
アルコール
,
睡眠障害
,
振戦せん妄
,
うつ病
pp.1482-1485
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103289
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1.はじめに
アルコールには中枢神経抑制作用があり,適量の飲酒は入眠を促進し,主観的な熟眠感を増す.そのためにアルコールは古くから睡眠薬としてよく用いられてきた.このことは今日でも変わりはないが,それはアルコールが容易に手に入るというだけではなく,睡眠薬を危険な薬とみなしている者が多いという理由にもよるであろう.
しかし,皮肉なことに不眠の解消を目的に用いていたアルコールが不眠の原因になっていることがある.特にアルコール依存に進展した例では,離脱期にひどい不眠を伴い,重篤な精神身体症状さえ出現する.離脱期を脱し,たとえその後断酒を続けることができても,長年にわたって不眠に悩まされているものが少なくない.こうしたアルコール関連の不眠の発現は決して珍しいことではないばかりか,常用飲酒は睡眠時無呼吸症候群や睡眠時異常行動を増悪させるなどの様々な睡眠の問題を起こしうる.
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