Japanese
English
TOPICS 神経精神医学
摂食障害におけるケトン体の役割
A role of ketone bodies in eating disorders
大山 覚照
1,2
Kakusho Chigusa NAKAJIMA-OHYAMA
1,2
1名古屋市立大学医学部附属東部医療センター精神科
2日本医科大学武蔵小杉病院精神科
pp.322-323
発行日 2025年4月26日
Published Date 2025/4/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293040322
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摂食障害の概要と現状
摂食障害は食行動の障害を特徴とする精神疾患であり,極端な食事制限と著しいやせを示す「神経性無食欲症」と,過食と体重増加を防ぐための代償行動を行う「神経性過食症」とに大別される.いずれも極度のやせ願望を持つ.10~20代に好発し,約90%が女性である.近年は患者数が増加しており,国内での受診患者数は約24万人と推定されている1).発症年齢の低下および高齢化もみられており,誰もが発症しうる疾患となっている.神経性無食欲症の転帰についての調査では,初診後4~15年経過した患者のうち,約半数は全快するが,残りの半数は慢性化する.死亡率は精神疾患のなかでは高く約5~11%である2).予後不良な疾患であるにもかかわらず,有効な治療法はいまだ確立されておらず,とくに薬物療法の開発については,他の精神疾患と異なりほとんど進展していない.治療する医療機関の不足も深刻な問題となっており,現在,国の医療政策として重点的な対応と整備が進められている.幅広い医療機関で治療できるようハードルを低くするためにも,予後の改善のためにも,摂食障害の発症機序の解明とその治療法の開発はますます重要な課題である.
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