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特集 科学的根拠に基づくがん検診UPDATE 2025
がん検診の利益と不利益
-――ガイドライン策定の根拠
Benefit and harm of cancer screening
――The rationale of developing of cancer screening guideline
中山 富雄
1
Tomio NAKAYAMA
1
1国立がん研究センターがん対策研究所検診研究部
キーワード:
がん検診
,
利益
,
不利益
,
過剰診断
Keyword:
がん検診
,
利益
,
不利益
,
過剰診断
pp.940-943
発行日 2025年3月22日
Published Date 2025/3/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292120940
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がん検診には,利益だけではなく不利益が必ずある.不利益には,放射線被曝や検査法・精密検査・治療による偶発症のほか,偽陰性・偽陽性なども含まれる.見落としを避けるための過剰な要精検や検診間隔の狭小化は偽陽性を増やし不利益につながる.進行の遅いがんほど検診で発見されやすいことから,検診発見がんの一部は生命予後に影響のない過剰診断であり,検診の最大の不利益となる.一方で検診の利益は,がん発見や生存率向上ではなく,対象集団のがん死亡率の減少である.検診の対象者は健常人であり,がんを有するものは数百から数千分の1にすぎないため,個人単位で利益を被るのはほんのわずかであり,がんを有さないほとんどの者にとっては不利益のみを被る可能性がある.このため検診では,受診による利益が確実にあり,不利益がはるかに小さいことが求められる.

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