消化管がん検診・スクリーニングの手引き
Ⅰ 検診・スクリーニングを理解するためのプロローグ ❹ がん検診の不利益の最小化と精度管理の重要性
斎藤 博
1
1青森県立中央病院
キーワード:
がん検診
,
利益
,
不利益
Keyword:
がん検診
,
利益
,
不利益
pp.840-844
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001848
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がん検診は対象とするがんの死亡リスクを下げることが目的である.しかし,がん検診を行っても死亡リスクが下がらない,つまり利益が得られない場合もありうる.この利益の保証のため,死亡リスクが下げられるという科学的根拠はがん検診の第一の必須要件である.一方,不利益は検診では必発である.偽陽性,偽陰性のいずれもが発生しない検診はないことを考えれば自明である.さらに,たとえ有効性が研究により確立した検診であっても,理想的な条件下で行われた研究と同様の効果を実現し,かつ不利益を最小化するには高度な検診の質の管理,つまり厳格な精度管理が不可欠であり,第二の必須要件となる.しかし,このようながん検診に固有の原則はほとんど理解されていない.本稿では臨床における早期診断との違いを踏まえ,がん検診の利益/不利益について解説し,利益の確保と不利益の最小化を要件とする検診の原則の理解につなげたい.
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