消化管がん検診・スクリーニングの手引き
Ⅰ 検診・スクリーニングを理解するためのプロローグ ❶ スクリーニング:定義と歴史,検診における概念
中山 富雄
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1国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部
キーワード:
公衆衛生活動
,
不利益
,
死亡率
,
ガイドライン
Keyword:
公衆衛生活動
,
不利益
,
死亡率
,
ガイドライン
pp.820-823
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001845
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スクリーニングとは,篩にかける,選別するという意味を指す.医学分野においては,対象集団に対してなんらかの共通検査を行い,目標となる疾患あるいはその発症が予測される集団を選別する行為と定義されている.あくまで集団を対象としたもので,個人を対象としたものではない.わが国では保険診療は疾病の治療のみに給付されており,疾病の予防は給付されていない(注;禁煙治療はがん予防ではなくニコチン依存症という疾患に対する治療として保険収載された.介護予防はこの範疇ではない).このようにスクリーニング/検診はあくまで公衆衛生活動として行われており,診療のなかで行われているものを指していない.ここでは,がん検診の歴史をまず述べ,公共政策としてのスクリーニング/検診と診療との違いを整理する.
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