神経変性疾患における血液のオミクス解析いろは

The ABCs of blood omics analysis in neurodegenerative diseases

　さまざまな生体分子とその役割が明らかになり，それらを網羅的に取得したオミクス情報が生命医学研究で注目されている．特に血液は、体内をくまなく循環しており，低侵襲性で繰り返し採取できることから，血液由来のオミクスデータ解析を使った研究が実施されてきている．これは神経変性疾患の研究でも例外ではない．本稿では，血液由来のオミクスデータの取得から，データの前処理，そして統計解析に至るまでの重要な点をバイオインフォマティクスの観点も踏まえて概説する．さらに血液由来のマルチオミクス・トランスオミクス解析についても触れる．最後に，このようなオミクスデータ解析研究は，バイオインフォマティクスの専門家との学際的共同研究体制により実施することが望まれる．そのような共同研究体制構築に有益な研究支援の枠組み，文部科学省の事業である “コホート・生体試料支援プラットフォーム（CoBiA）” によるデータ解析支援についても紹介する．