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第5土曜特集 マルチオミクスが解き明かす疾患の本質――統合的アプローチによる新たな知見
総論:マルチオミクス解析の基盤と技術
深層生成モデルによるマルチオミクスvelocity解析
Multiomics velocity analysis using deep generative models
島村 徹平
1
,
野村 怜史
2
Teppei SHIMAMURA
1
,
Satoshi NOMURA
2
1東京科学大学総合研究院難治疾患研究所
2日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院
キーワード:
マルチオミクス
,
深層生成モデル
,
mmVelo
,
chromatin velocity
,
細胞ダイナミクス
Keyword:
マルチオミクス
,
深層生成モデル
,
mmVelo
,
chromatin velocity
,
細胞ダイナミクス
pp.754-760
発行日 2025年5月31日
Published Date 2025/5/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293090754
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マルチオミクスとは,単一細胞から複数種類の生体情報(RNA,クロマチンアクセシビリティなど)を同時に取得・解析する技術であるが,従来は静的なスナップショットのみで,細胞の動的変化を捉えることが困難であった.本稿では,深層生成モデルを活用して静的データから動的情報を復元する “mmVelo” を紹介する.mmVeloの特徴は,変分オートエンコーダー(VAE)により低次元細胞状態を学習し,RNA・クロマチン両方の変化速度を推定できる点である.特筆すべきは,mmVeloがプロモーターとエンハンサーの時間差や転写因子モチーフの活性化タイミングをピークレベルで高解像度に捉えられる点,さらに欠損モダリティに対する補完推定が可能な点である.この技術によりマウス胚脳発生や毛包分化における転写制御ダイナミクスを高解像度で捉えた事例と,がん進化,免疫疾患,神経疾患などさまざまな疾患研究への応用可能性について解説する.

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