Japanese
English
特集 過労死等研究の現在地――10年間の成果と今後の方向性
過労死等としての精神障害・自殺の特徴
Characteristics of mental disorders and suicide as karoshi
高橋 有記
1
,
山本 賢司
1
Yuki TAKAHASHI
1
,
Kenji YAMAMOTO
1
1東海大学医学部総合診療学系精神科学
キーワード:
過労死等
,
精神障害
,
自殺
,
事案研究
,
ハラスメント
Keyword:
過労死等
,
精神障害
,
自殺
,
事案研究
,
ハラスメント
pp.547-551
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292070547
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
近年,過労死等が社会的に大きく注目されており,世界で労働関連死者数は年間約300万人,労災認定される労働者は3億9,500万人とされる.わが国においても,労災認定される労働者は増加傾向ではあるが,なかでも2023年度における精神障害に関する事案(以下,精神障害事案)の支給決定件数は883件であり,大幅に増加している.そのため,精神障害事案の実態解明および予防・対策方法の確立は喫緊の課題である.筆者らはこれまでに,過労死等が多発している業種のうち,情報技術(IT)産業,教育学習支援業に着目し,それらの精神障害の実態や特徴および背景要因を検討することを目的に事案研究を行った.その結果,IT産業ではセクシュアルハラスメント,教育学習支援業ではいじめ・嫌がらせなどのハラスメントが多いことが明らかとなった.そのため,わが国における精神障害事案の予防・対策方法としては,長時間労働への対策だけではなく,各業種の過労死等の発生メカニズムの細やかに検討し,その結果に基づいた具体的方策の検討が重要であると考えられた.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.