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第1土曜特集 生殖医学――基礎研究と実地診療の進歩
わが国における着床前遺伝子検査の現状
Current status of preimplantation genetic testing in Japan
佐藤 卓
1,2
Suguru SATO
1,2
1藤沢IVFクリニック
2慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
キーワード:
着床前遺伝子検査(PGT)
,
体外受精(IVF)
,
出生前検査
,
保因者スクリーニング検査(CS)
Keyword:
着床前遺伝子検査(PGT)
,
体外受精(IVF)
,
出生前検査
,
保因者スクリーニング検査(CS)
pp.945-952
発行日 2024年12月7日
Published Date 2024/12/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291100945
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単一遺伝子疾患を対象とする着床前遺伝子検査(PGT-M)は,欧米では確立された医療とみなされている.わが国では長らく小児期発症の重篤な疾患に限定してきたが,欧米では成人期発症の疾患や遺伝性がんにも広く適応されており,大きな乖離がある.2022年の「着床前診断に関する見解/細則」改定により,わが国でも対象拡大が検討されたが,審査の透明性や公平性の確保および迅速な実施などに課題を残している.体外受精(IVF)のアウトカム向上を目的とするPGT(PGT-A)は,わが国でも自費診療を中心として実施されている.一部の施設では先進医療としても実施されており,今後の保険給付の可否が注目されるが,技術自体の有効性を示すエビデンスが十分ではないという懸念が残る.保因者スクリーニング検査(CS)は,遺伝性疾患の罹患児を出産するリスクが高いカップルを明らかにする検査である.欧米ではその普及とともにPGT-Mの実施数も増加しており,わが国でも実施の可否をめぐる議論が求められる時期にきている.
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