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第1土曜特集 生殖医学――基礎研究と実地診療の進歩
成育疾患からみた着床前期胚の重要性
Importance of preimplantation embryos from the viewpoint of pediatric disorders
深見 真紀
1
Maki FUKAMI
1
1国立成育医療研究センター分子内分泌研究部
キーワード:
染色体異数性
,
トリソミーレスキュー
,
モノソミーレスキュー
,
X染色体不活性化(XCI)
Keyword:
染色体異数性
,
トリソミーレスキュー
,
モノソミーレスキュー
,
X染色体不活性化(XCI)
pp.937-943
発行日 2024年12月7日
Published Date 2024/12/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291100937
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ヒト着床前期胚は,染色体異数性細胞が多いこと,ランダムX染色体不活性化(XCI)が生じることによって特徴づけられる.また,ヒト初期胚では複雑ゲノム再構成が観察される場合がある.着床前期胚における染色体数的/構造異常は,児の死亡や成育疾患の原因となる.なお,初期胚ではまれに異数性レスキューが生じる.異数性レスキューは核型を正常化する現象であるが,染色体構造異常やインプリンティング疾患の原因となる.筆者らは健常女性の解析から,XCIの開始(不活性X染色体の選択)が,胚に12個程度の胎児性前駆細胞が含まれる段階に生じることを見出した.さらにインプリンティング疾患患者の解析から,出生につながるモノソミーレスキューが4細胞期前後に生じることを提唱した.この結果は,XCI開始のタイミングが受精からの時間によって制御されていることを示唆する.ヒト初期胚における染色体動態とその異常の理解は,成育疾患の分子基盤解明に貢献する.
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