今月の臨床 重篤な遺伝性疾患の着床前診断―患者ニーズと診断・治療の現状
総論
着床前診断に用いられる遺伝子診断技術の現状
古川 源
1
,
七里 由衣
1
,
倉橋 浩樹
1
1藤田医科大学医科学研究センター分子遺伝学研究部門
キーワード:
着床前遺伝学的検査
,
全ゲノム増幅
,
ロングリードシークエンス
Keyword:
着床前遺伝学的検査
,
全ゲノム増幅
,
ロングリードシークエンス
pp.174-180
発行日 2024年3月10日
Published Date 2024/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211151
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●重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)を高精度に実施するためには,最適な全ゲノム増幅法を用いて十分なDNA量を得ることに加え,家系における病的バリアントの信頼度を検討し,それを検出する直接法と連鎖解析による間接法を併用することが重要である.
●直接法を用いるにあたって,PGT-Mの対象となる疾患は通常のSanger法では判定できない特殊な病的バリアントが原因のことが多く,解析には工夫が必要になる.
●間接法では,一塩基置換やshort tandem repeatをマーカーとして用いたハプロタイプ家系図を構築する必要があり,家系における病的バリアントの上流・下流それぞれ1Mb以内に位置する複数の遺伝的マーカーを解析することが組み換えによる誤判定のリスクを低減することにつながる.
●近年,ロングリードシークエンスの普及により,直接法・間接法の事前セットアップが容易になりつつある.
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