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第5土曜特集 細胞外小胞・エクソソームの医療応用の未来
はじめに
Introduction
藤田 雄
1
Yu FUJITA
1
1東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 次世代創薬研究部
pp.641-641
発行日 2024年11月30日
Published Date 2024/11/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291090641
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- Abstract 文献概要
医学において,細胞外小胞(extracellular vesicles:EV)による病態理解,診断,そして治療薬応用の進歩はますます注目を集めている.エクソソームに代表されるEVは,細胞が放出する微小な “メッセージカプセル” であり,そのなかにはさまざまな生体分子が含まれている.これまでの研究で,EVが細胞間のコミュニケーションを担う重要な役割を果たすことが明らかにされてきた.たとえば,がん細胞の転移ニッチにおける役割,疾患特異的診断,デリバリーキャリアとしての有用性,生物種を超えた情報伝達など,多領域にわたる生物学の新たな知見が浮き彫りとなった.さらにこの数年で,EVを新規モダリティとした創薬開発が実用化段階に入り,関連産業が活発化してきた.国際細胞外小胞学会(International Society for Extracellular Vesicles:ISEV)でも,2024年春より筆者が参加する新委員会 “ISEV Translation,Regulation and Advocacy Committee” がスタートし,診断,治療,食品,農業領域などのさまざまなEV臨床応用の情報収集や分析を行うことで,規制領域の専門家やステークホルダーを交えた臨床展開の加速を目的とした活動がスタートし,まさに医療応用が近い段階にきた.
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