発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012318857
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は88歳女性で、7ヵ月前頃より尿タンパク、低タンパク血症を認め、ネフローゼ症候群の診断でprednisoloneを開始したが症状は一進一退であった。肺炎、胆嚢炎の治療後にリハビリ目的で転院したが、腹痛、粘血便を来たし、全身浮腫も悪化して再度転入院した。保存的加療とし、胸部X線の右下肺野浸潤影に対し抗菌療法を、甲状腺機能低下症にホルモン補充療法を行った。浮腫は利尿薬の反応が不良であったため血液透析を数回行ったが、改善と悪化を繰り返した。肺水腫でBNPが上昇し、血液透析、extracorporeal ultrafiltration methodで改善した後に利尿薬を強化したが、透析離脱できなかった。このためtolvaptan 7.5mgを開始し、15mgに増量したところ徐々に尿量は増加し、BNPも低下した。その後、肺炎合併により肺水腫となり血液透析再開となったが、肺炎改善後に透析離脱でき、再度のtolvaptan投与により尿量は増加し、胸部X線所見も著明に改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012