Japanese
English
第1土曜特集 腸内フローラの研究進展と臨床応用
基礎研究の進展
マイクロバイオームによる消化管感染の制御
Microbiome determinants that protect from or foster the gastrointestinal tract pathogen infection
三木 剛志
1
,
金 倫基
1
Tsuyoshi MIKI
1
,
Yun-Gi KIM
1
1北里大学薬学部微生物学教室
キーワード:
腸内細菌
,
病原細菌
,
消化管感染
,
定着抵抗性(CR)
,
マイクロバイオーム
Keyword:
腸内細菌
,
病原細菌
,
消化管感染
,
定着抵抗性(CR)
,
マイクロバイオーム
pp.351-359
発行日 2024年11月2日
Published Date 2024/11/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291050351
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
ヒトの消化管(大腸)には,密で多種多様な腸内細菌(腸内細菌叢)が共生し,病原細菌による消化管感染に対する防御力が備わっている.これは定着抵抗性(CR)とよばれ,病原細菌と腸内細菌・宿主のダイナミックな相互作用であり,代謝,免疫,そして腸内環境など多くの因子が関わっている.CRは大きく2つの様式,すなわち栄養源競合と干渉競合により,病原細菌の腸管内定着を阻止する.また,CR活性には多くの因子が関わっており,感染防御に寄与する.一方,腸内細菌バランスが崩れ,CR活性が減弱した場合は,病原細菌による感染を許してしまう.病原細菌は巧みな感染戦略により,CRに拮抗する.さらに,マイクロバイオームには病原細菌の感染性を高める因子もある.抗菌薬は病原細菌の一時的な排除には有効であるが,その広域な抗菌スペクトルは常在する腸内細菌をも殺菌し,腸内細菌バランスを崩す結果,CR活性が減弱し,日和見感染や再感染,二次感染の引き金になってしまう.したがって,消化管感染症の制御には腸内細菌を中心としたCRを理解し,新たな方策を考えることが必要である.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.